1997-2008年の記録一覧
水産海洋シンポジウム
The Japanese Society of Fisheries Oceanography Symposium


地球温暖化とその沿岸・沖合海洋生態系への影響−検知と予測−
 
  主 催:水産海洋学会
 
日 時: 2008年3月26日(水) 9:00〜16:40
場 所: 東京海洋大学品川キャンパス 22番講義室
共 催: 日本海洋学会
コンビーナー: 高柳和史(水研セ西海水研)・古谷 研(東大院)・野尻幸宏(国環研)・伊藤進一(水研セ東北水研)
プログラム
 
 
挨拶 :渡邊良朗(水産海洋学会会長) 09:00〜09:05
開催趣旨・背景説明 :高柳和史(水研セ西海水研) 09:05〜09:10
I 日本周辺の海洋環境変化と将来予測
座長:伊藤進一(水研セ東北水研)
1. 日本周辺海域における海面水温の長期トレンド
高槻 靖・○倉賀野 連・分木恭朗(気象庁)・志賀 達・有吉正幸(神戸海洋気象台)・井上博敬(長崎海洋気象台)・藤原弘行(函館海洋気象台)
09:10〜09:35
2. 温暖化シナリオ下において日本周辺海域で予期される海洋環境の変化
○坂本 天・鈴木立郎(FRCGC/JAMSTEC)・羽角博康(東大CCSR)
09:35〜10:00
3. 温暖化シナリオ下において予期される低次生態系変動と酸性化
○山中康裕(北大/JAMSTEC)・岡田直資(北大)・橋岡豪人(JAMSTEC)
10:00〜10:25
休憩:10:25〜10:35
4. 海洋酸性化が海洋生物に与える影響予測の実験的研究
○野尻幸宏(国環研)
10:35〜11:00
II 沖合域生態系への影響
座長:古谷 研(東大院)
5. 日本周辺海域での低次生態系モニタリング
○長谷川 徹(水研セ西海水研)・小埜恒夫(水研セ北水研)・田所和明(水研セ東北水研)・千葉早苗(JAMSTEC)・廣江 豊・日高清隆(水研セ中央水研)
11:00〜11:25
6. 沖合小型浮魚類への温暖化影響
○伊藤進一(水研セ・東北水研)・志藤文武(北大)・山中康裕(北大/JAMSTEC)・橋岡豪人(JAMSTEC)・高須賀明典(水研セ中央水研)・奥西 武(水研セ東北水研)
11:25〜11:50
7. 冷水性魚類への温暖化影響
○岸 道郎・桜井泰憲・帰山雅秀(北大院水)
11:50〜12:15
昼食休憩(幹事会):12:15〜13:15
宇田賞・論文賞授賞式:13:15〜13:25
8. 地球温暖化に伴うクロマグロ仔魚の生態的応答
○木村伸吾・加藤慶樹・山岡直樹・北川貴士(東大院/海洋研)
13:25〜13:50
III 沿岸・藻場生態系への影響
座長:野尻幸宏(国環研)
9. 北日本沿岸の藻場における温暖化影響
○坂西芳彦(水研セ北水研)・小松輝久(東大海洋研)・鈴木 款(静岡大院)・岸 道郎(北大院水)
13:50〜14:15
10. 西日本沿岸の藻場の現状と温暖化影響
○吉田吾郎・樽谷賢治・堀 正和(水研セ瀬戸内水研)・寺脇利信(水研セ水工研)・吉村 拓(水研セ西海水研)・荒武久道(宮崎水試)・橋本俊也(広大院)・村瀬 昇(水大校)
14:15〜14:40
休憩:14:40〜14:50
11. 温帯性沿岸魚類への温暖化影響
○山下 洋・益田玲爾(京大フィールド研)・桑原久実・明田定満(水研セ水工研)
14:50〜15:15
12. 温暖化がニシン資源に及ぼす影響の検討
○大河内裕之(水研セ)・村上直人(水研セ北水研)・長倉義智(水研セ宮古栽セ)
15:15〜15:40
総合討論 座長:高柳和史(水研セ西海水研) 15:40〜16:40
2008年度 通常総会 16:40〜17:30
開催趣旨:
 2007年にIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次報告書がまとめられ、その中で「20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性がかなり高い」とされており、今後もさらなる温暖化の進行が危惧されている。また、温室効果ガスの代表であるCO2濃度の上昇は海洋の酸性化を招き、その海洋生態系への影響も懸念され始めている。
 地球温暖化が海洋生態系に与える影響については、様々な研究が進められてきたが、海洋生態系の複雑な過程には不明な点が多いため、多くの場合は過去の変動特性に基づいた統計的(経験的)な予測に頼ってきた。しかし、地球温暖化が進行した際には、海洋環境も大きく変化し、これまで起きていた現象が繰り返し再現されるとは限らない。このため、海洋生態系の過程をより多く取り込んだ予測を行う必要がある。特に定量的な予測を行うためには、各過程の定式化とモデル化が必要であるが、そのような定量的予測は低次生態系の変動予測に主に限定され、主要水産生物を含む高次生態系の変動予測はまだほとんどなされていない。一方、その低次生態系の変動予測においてでさえも、生物ポンプによる温室効果ガスの吸収や円石藻の海水炭酸系に及ぼす影響など複雑なフィードバック作用を十分に反映した予測はできていない。
 このような現状の中、本シンポジウムでは、我々が既に検知している温暖化の影響をまとめ、さらに将来引き続き温暖化が進行した際に起こりうる危険性を考慮し、今後進めるべき課題を検討したい。特に、温暖化の海洋生態系への影響を、沿岸そして沖合域でいち早く検知するための観測体制も含め、日本の水産・海洋分野が取り組むべき方策を総括したい。