第21回常磐・鹿島灘の漁業を考える
−マイワシ資源の低迷・増加期をふり返る−
共 催: 水産海洋学会・茨城県まき網漁業協同組合・大津漁業協同組合・茨城県水産試験場・常磐・鹿島灘の漁業を考える会
後 援: 北茨城市
日 時: 2007年3月9日(金)12:30-17:30
会 場: 北茨城市大津漁村センター「ポート大津」電話0293-46-6889
(JR常磐線大津港下車タクシー5分)
コンビ−ナ−: 村山 譲(大津漁協)・八角 直道・二平 章(茨城水試)


 
挨拶 12:30-12:45
渡邉 良朗(水産海洋学会会長)
鈴木 徳穂(茨城県まき網漁協組合長)
鈴木 将之(大津漁協組合長)
趣旨説明 12:45-13:00
二平 章(茨城水試)
プログラム
座長:船越 茂雄(愛知水試)
1. 日本マイワシの資源変動と管理問題
川崎 健(元・東北大)
13:00-13:25
2. 資源変動にともなうマイワシの系群構造と産卵場の変化
渡部 泰輔(元・東海水研)
13:25-13:50
3. 1970年代にマイワシはどのように増えてきたのか
平本 紀久雄(元・千葉水試)
13:50-14:15
4. マイワシ資源増加期の特徴と1972年卓越年級群の形成
黒田 一紀(元・日水研)
14:15-14:40
討論(20分)
休憩(10分)
座長:為石 日出生(JAFIC)
5. 海洋環境からみた1910年代と70年代におけるマイワシ資源の増加
友定 彰(MIRC)
15:10-15:35
6. 小型浮魚類の卓越種交替と産卵・成育場の環境変動
杉本 隆成(東海大海洋)
15:35-16:00
7. 資源低迷期におけるマイワシの生物特性と環境
八角 直道(茨城水試)
16:00-16:25
討論(15分)
総合討論 座長 二平 章(茨城水試) 16:40-17:30
コメント: 堀 義彦(元・茨城水試)
       船越 茂雄(愛知水試)
       為石 日出生(JAFIC)
閉会挨拶 村山 譲(大津漁協) 16:40-17:30
開催趣旨:
 日本周辺のマイワシ資源が長期的なスケールで大変動を繰り返してきたことは、江戸時代に書かれた古文書などからもうかがい知ることが出来る。漁獲統計が整備された1905年以降でもマイワシには二度の大きな資源変動が認められ、一度目は戦前の1930年代に二度目は1980年代に豊漁期を迎えている。二度目の豊漁期であった1980年代には、マイワシ漁獲量は日本周辺で450万トンに達したが、1990年代以降は急激に減少して現在ではわずか5万トンと、2000年代は明らかに資源低迷期に入ったといって良い。

 1970年代から1990年代のマイワシ資源の大変動が1976/77年および1988/89年に起きたとされる大気・海洋系のレジーム・シフトに応答して生起したことは広く知られている。しかし、1980年代の豊漁をもたらす起点となったのは、レジーム・シフトの5年前にあたる1972年の卓越年級群の形成である。渡部(1987)は、資源の低水準から増加期への移行には、系群間の移動・混合などを通じての長期にわたる準備期間があり、親魚の質的強化や各発育段階における好適環境条件のもとでの卓越年級の形成が必要であると述べている。

 近年レジーム・シフトと魚類資源の変動に関する議論では、ともするとレジーム・シフト年のみが注目されがちであるが、ここでは、1910年代から20年代および1960年代から70年代におけるマイワシの資源低迷・増加期をふり返る。そして、その時代におけるマイワシの資源構造や回遊生態そして海洋環境がどのようにその後の卓越年級の形成に結びつくのかを議論することを通して、低水準下にあるマイワシ資源の現状と今後の動向および管理問題について考えてみたい。